「採用のKPIは何を置くか?」と聞かれた時に・・・
仕事柄スタートアップ界隈で採用の支援をしているので
「採用のKPIは何を置くか?」と聞かれることが多い。
まずどう答えるかというと、まずは「採用活動にかける総時間」と伝えている。
質問された方すべてに、これまでどれぐらいのリソース「時間(=人)、もの、お金」を投下しているかを質問すると、お金しか出てこないことが多かった。
リソースを測ることができていないことが最初にわかる。
またよく聞くと、社内の時間(=人)のリソースは、候補者から応募があったことを起点に発生するもののみを指していることが多かったので、本業のアドオンとして考えていることも多くあった。
”測れないものはマネジメントできない”
*1という言葉からもあるように、まずは測れるようにすることが重要だ。
測れるもの かつ すぐに楽に計測出来る指標が「採用活動にかける総時間」である。
- 経験上、社内で採用活動にかける総時間が、その会社の採用数(=成果)と比例していることが多かったこと(※逆説的だが、「採用担当やチームが新卒採用に時間を割くと、中途採用のアクション数が弱まり、エントリー数が減る」「評価時期にマネージャーレイヤーや人事が時間が割かれると、採用へのアクション数が下がる」を体験した)
- 内定数を分析すると”リファラルやスカウト経由の”ダイレクトリクルーティング(DR)のチャネルからの応募が年々増えている、また比率が伸びていること
から、先行指標として「採用を実行する/促進するための企画やコミュニケーション」などを行う時間として”採用活動にかけられる総時間”から計測をすることを始める。
その後は、ご想像通りプロセス別にKPIを設計し、計測、改善していく。
KPIとは、目標達成に向けたプロセスにおける達成度を把握し評価するための「中間目標」(広辞苑)です。その目的は、KPIを適切に設定することで、目標が明確になり、チーム内の方向性が統一される。KPIを設定しておくことは、後に控える最終目標達成のための重要な要素である。
KPIを置く上でのポイント
前提として、KPI設定や振り返りは、会社としての採用実行力と成果の再現性を高める施策(=読めるようにしていくこと)である。
最近は、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング(STP)やカスタマージャーニーマップなどのマーケティングの考え方も採用領域に浸透しつつあるが、それらは候補者インサイトの理解を進める/深めるために利用される。
KPIを置き、その周りの事象を振り返る目的は、候補者の行動や思惑、それらの背景にある意識構造を理解することによって得られる「ツボ」を発見し、採用の再現性を高めることである。
忘れずに進めば採用はうまく行きやすくなるはずだと信じている(自分もやっている)。
蛇足だが、スタートアップの採用は「今までやっていなかったことをやる」ことが多いので、初速が良いのだが、踊り場に差し掛かると途端に費用対効果が悪くなる印象がある。結果に対してのコスパが悪くなるので、KPI設定をして、プロセス管理をし、そのアクションが蓄積をするとどうなるかを考えてから、意思決定していきたい。
僕の場合は、日々見るダッシュボードには「採用活動にかける総時間」を必ず見えるようにしている。それは、「寿司を食べるときは、白い魚から食べはじめるぐらい」強烈にオススメしている。
*1:開発方法論やリスク管理で著名なトム・デマルコ氏や経営学者のピーター・ドラッカー氏らが繰り返し唱えた言葉